「本物のタコス」はどこが違う? 東京の政府認定8軒で予習して、メキシコシティで答え合わせ
公開日:2026-09-15
タコスと聞いて、パリッと割れる黄色いシェルに、ひき肉とレタスとチェダーチーズを詰めた姿を思い浮かべる人は多い。あれはあれで完成された食べ物だが、メキシコの街角で出てくるものとはかなり違う。本場のタコスは、やわらかいとうもろこしのトルティーヤに具を載せ、サルサをかけ、ライムを搾って手で食べる。皿の上ではなく、立ったまま2〜3分で1個。そういう食べ物だ。
その違いを「国が保証する」動きが、2026年9月に日本にも来た。
メキシコ政府のお墨付き「Sello M」が日本初上陸
2026年9月10日、東京の在日メキシコ大使館で「Sello M(セジョ・エメ)」の認定証授与式が開かれた。メキシコ外務省(SRE)とメキシコ料理アカデミー(Academia Mexicana de Gastronomía)が、メキシコ国外でメキシコ料理の伝統を忠実に表現し、その文化的アイデンティティを守っている店を認定する制度で、日本の店が認定を受けたのは今回が初めて。都内7軒と千葉1軒の計8軒が選ばれた。
- TAQUITO(新小岩)
- New Classic Tortilla Club(代々木上原)
- OCTA(沼袋)
- SALSA CABANA(四谷)
- Peltre y Barro(代田)
- HOBO TACOS(中野)
- Tepito(下北沢)
- メキシコ酒場 サンズ ダイナー(千葉・津田沼)
認定の条件は公式サイトに明記されている。2年以上の営業実績があること、メキシコのレシピに基づく、文化的・料理的な多様性を反映したメニューであること、そして本場の伝統的メキシコ料理の教育を受けた、あるいは経験を持つ料理人が最低1人いること。最終判断はメキシコ料理アカデミーの審査委員会が行う。要するに「メキシコ人が見て、これはメキシコ料理だと言える店」ということだ。
渡航前に1軒行っておくと、現地で「同じ名前なのに別物が出てきた」という戸惑いが減ります。トルティーヤの厚みやサルサの辛さの基準が体にできるからです。
本物のタコスの見分け方は3つ
専門的な話を抜きにすると、見るべきところは3つしかない。
😥本場のタコス
- とうもろこしのトルティーヤ(やわらかい)
- 店で生地から焼く
- サルサは数種類を自分でかける
😊Tex-Mex(アメリカ経由)
- 小麦または揚げたハードシェル
- 工場製が多い
- サワークリームとチェダーチーズ
とうもろこしのトルティーヤは、ニシュタマリゼーションという石灰水で処理する古代からの製法でつくる。これをやると香りが立ち、栄養も吸収しやすくなる。焼きたては驚くほど甘い香りがするので、席に着いたらまずトルティーヤだけをちぎって食べてみるといい。ここが工場製かどうかで、店の性格はだいたい分かる。
サルサも本場では「辛さの調味料」ではなく料理の一部で、唐辛子のほかにハーブ、果物、ときにカカオまで入る。赤と緑の2種類が最初から卓上に置かれる店が多く、緑(トマティーヨ)のほうが酸味が立ち、赤(乾燥唐辛子)のほうが香ばしい。どちらが辛いかは店による。少しずつ試すのが安全だ。
メキシコシティで行くなら、この4軒
予習が済んだら本番。メキシコシティのタコスは、朝・昼・深夜で主役が変わる。
- タケリア・ロス・ココヨス(歴史地区・Bolívar通り) — 1980年創業の屋台。レングア(牛タン)とスアデロが看板で、ミシュランガイドにも載っている。行列必至。1人100〜200ペソ
- エル・ビルシート(ナルバルテ地区) — 昼は自動車整備工場、夜はタケリアになる店。名物は串焼きの豚肉にパイナップルを添えるタコス・アル・パストール。深夜まで地元客で賑わう。1人100〜200ペソ
- サロン・コロナ(歴史地区・マデロ通り近く) — 生のコロナビールが飲める老舗。魚のフライを挟んだタコスが安く、夕食でも1,000円を切る
- ロス・ダンサンテス(コヨアカン) — タコスから少し離れて、オアハカ料理とメスカル。自家蒸溜のメスカルを産地と原料アガベで飲み比べできる。1人400〜700ペソ
アル・パストールは夜の食べ物です。回転する串から削ぎ落とす肉なので、串に肉が積まれる夕方以降でないと本来の姿になりません。
テキーラとメスカルは「ショット」ではない
日本ではテキーラを一気に飲むものだと思われがちだが、本場では上質なものほどストレートで、ウイスキーのようにゆっくり飲む。メスカルはアガベを石窯で焼いてから蒸溜するので燻製香があり、こちらも同じ。タコスに合わせるならビールでもいいが、せっかくメキシコにいるなら、1杯は時間をかけて飲んでみてほしい。
メキシコシティは何泊が目安か
旅行会社のパッケージを調べると、メキシコシティ単独のツアーは4〜5泊が中心だった。市内の見どころに加えて、テオティワカン遺跡やプエブラ、タスコといった日帰りの行き先があるためで、5泊あれば市内3日+日帰り2日が無理なく入る。食事だけで言えば、朝食(エル・カルデナルやフォンダ・マルガリータ)、昼のタコス、夜のモレやオアハカ料理と、1日3食すべてに名物があるので、日数はあっても持て余さない。
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